相続登記と実家売却の順番を、早めに整理する
名義や遺産分割から確認したい方は相続不動産の相談先へ、査定や売却方法を比べたい方は不動産売却の相談先へ問い合わせましょう。
イエヲタ(不動産売却コンシェルジュ)
相続登記前の実家は、そのままでは売却手続きを完了できません
亡くなった親御さんの名義のままになっている実家でも、「売ることを考える」「不動産会社へ査定を相談する」ことはできます。しかし、買主へ名義を移す売却手続きを完了するには、その前提として相続登記を行い、実家の名義を相続人へ移す必要があります。
法務省も、登記簿上の所有者が亡くなった後に相続人が不動産を売却し、買主へ登記を移すときは、先に相続登記をして登記簿上の所有者を相続人へ移す必要があると案内しています。
そのため、結論は「相続登記をしてからでなければ最終的な売却はできないが、登記の準備と売却相談は同時に始められる」です。
相続登記が終わるまで何もしてはいけないわけではありません。先に査定を受けて売却価格の目安を知り、相続人同士で「誰が相続するか」「売ったお金をどう分けるか」を話し合うと、手続きを進めやすくなります。
まず登記簿で「現在の名義」を確認する
家族が「父名義だと思う」と話していても、登記簿を見ると祖父母の名義のままということがあります。土地と建物で名義が違う、増築部分が登記されていない、登記上の住所が古いといったケースもあります。
最初に確認したいのは次の項目です。
| 確認すること | 見る資料 | 注意点 |
|---|---|---|
| 土地と建物の名義 | 登記事項証明書 | 土地だけでなく建物も確認する |
| 所有者の住所・氏名 | 登記事項証明書 | 古い住所や旧姓のままの場合がある |
| 共有者の有無 | 権利部(甲区) | 兄弟や親族との共有名義か確認する |
| 抵当権の有無 | 権利部(乙区) | 住宅ローン完済後も登記が残る場合がある |
| 土地の地番 | 固定資産税通知書・登記簿 | 住居表示と地番は異なることがある |
| 未登記建物の有無 | 固定資産税通知書・現地 | 登記簿にない建物は個別確認が必要 |
登記事項証明書は、法務局の窓口やオンライン請求で取得できます。見方が分からないときは、分からないまま売却契約を急がず、法務局の登記手続案内や司法書士へ確認しましょう。
相続登記は2024年4月から義務化されています
2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人には相続登記の申請が義務付けられています。原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請が必要です。
2024年4月1日より前に発生した相続でも、相続登記をしていない不動産は対象です。法務省は、施行日前から相続したことを知っていた不動産について、2027年3月31日までに相続登記をする必要があると案内しています。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となる場合があります。
また、遺産分割の話し合いがまとまった場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に沿った登記を申請する義務があります。
参考: 法務省 相続登記の申請義務化について / 法務省 相続登記をしないまま不動産を売却するときの説明
期限が近いからといって、相続人の一人だけで勝手に売却を決めてよいわけではありません。まず相続人と対象不動産を確認し、誰が取得するかを整理することが大切です。
売却までのおすすめ手順
相続登記と実家売却は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
| 順番 | やること | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 1 | 登記簿、遺言書、固定資産税通知書を確認する | 法務局、家族 |
| 2 | 戸籍を集めて法定相続人を確認する | 市区町村、司法書士 |
| 3 | 実家を誰が相続するか話し合う | 相続人、必要に応じて弁護士 |
| 4 | 遺産分割協議書などを準備する | 司法書士、弁護士 |
| 5 | 相続登記を申請する | 法務局、司法書士 |
| 6 | 不動産査定を比べて売却方法を決める | 不動産売却相談先 |
| 7 | 相続人名義で売買契約と所有権移転を進める | 不動産会社、司法書士 |
| 8 | 売却後の税金と代金の分け方を確認する | 税務署、税理士、家族 |
査定は相続登記の申請前でも相談できます。売却価格の目安が分かると、実家を誰が相続するか、売却するか残すかを話し合う材料になります。ただし、査定額は売却価格を保証するものではありません。1社だけで急いで決めず、条件や費用も比べましょう。
相続登記で準備する主な書類
必要書類は、遺言の有無、法定相続、遺産分割などによって変わります。遺産分割協議による相続登記では、一般に次のような書類を確認します。
| 書類 | 目的 | 主な取得先 |
|---|---|---|
| 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍 | 相続人を確認する | 市区町村 |
| 亡くなった方の住民票の除票・戸籍の附票 | 登記名義人とのつながりを確認する | 市区町村 |
| 相続人の戸籍 | 相続人であることを確認する | 市区町村 |
| 不動産を取得する人の住民票 | 新しい名義人の住所を確認する | 市区町村 |
| 遺産分割協議書 | 誰が不動産を取得するか示す | 相続人で作成 |
| 相続人の印鑑証明書 | 遺産分割協議の確認に使う | 市区町村 |
| 固定資産税評価証明書・課税明細書 | 登録免許税を計算する | 市区町村、納税通知書 |
| 登記申請書 | 法務局へ申請する | 作成して提出 |
法務局の「登記手続ハンドブック」には、遺産分割協議の場合と法定相続の場合の案内があります。ただし、数次相続、相続人が多い、行方不明者がいる、遺言の内容に疑問がある、家族間で意見が合わない場合は、必要書類や手続きが複雑になります。
参考: 法務局 相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ
費用は登録免許税と専門家報酬を分けて考える
相続登記には、登録免許税、戸籍などの取得費、郵送費、司法書士へ依頼する場合の報酬などがかかります。
相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として不動産の固定資産税評価額に0.4%を掛けて計算します。ただし、一定の相続登記や不動産価額が100万円以下の土地では、2027年3月31日まで免税措置を利用できる場合があります。免税を受けるには申請書への記載が必要なため、該当するか法務局や司法書士へ確認しましょう。
見積もりを比べるときは、「登録免許税などの実費」と「専門家報酬」を分けて確認すると分かりやすくなります。安さだけで選ばず、戸籍収集、遺産分割協議書の確認、数次相続への対応など、依頼範囲を確認してください。
遺産分割がまとまらないときはどうする?
相続人同士で誰が実家を取得するか決まらない場合、売却手続きを急いでも進められません。まずは相続人全員で、次の内容を共有しましょう。
- 実家の登記名義と固定資産税評価額
- 不動産査定の結果
- 片付け、修繕、測量などにかかる費用
- 売却後に残る見込み額
- 誰が手続きを担当するか
- 売却代金をどのように分けるか
すぐに遺産分割がまとまらない場合、相続登記の基本的な申請義務を簡易に履行する「相続人申告登記」という制度があります。ただし、相続人申告登記は不動産の権利関係を確定して公示するものではなく、それだけで実家を売却できるようになる手続きではありません。
家族間で対立がある場合、司法書士が扱えるのは登記手続きが中心です。遺産分割の交渉や法律紛争については、弁護士への相談が必要になることがあります。
2026年4月から住所・氏名の変更登記も義務化
2026年4月1日から、不動産の所有者が住所や氏名を変更した場合、原則として変更日から2年以内に変更登記を申請することも義務化されています。
相続登記を済ませていても、登記上の住所が現在の住所と違う場合は、売却前に住所変更登記が必要になることがあります。結婚などで氏名が変わっている場合も同様です。実家の売却準備では、所有者名だけでなく住所と氏名の表記も確認しましょう。
参考: 法務省 住所等変更登記の義務化
この記事で紹介している相談サービス
相続登記そのものは法務局や司法書士の領域ですが、実家売却では「相続と売却の全体像を整理する相談先」と「不動産売却の相談先」を分けると迷いにくくなります。
| サービス | 相談を検討しやすい場面 | 申込み前に確認したいこと |
|---|---|---|
| ラクウル / 相続の窓口 | 相続不動産、遺産分割、実家売却の順番を整理したい | 対応範囲、対象地域、専門家への取次ぎ |
| イエヲタ | 実家の査定や不動産売却の相談先を探したい | 対応物件、紹介先、査定から売却までの流れ |
| 法務局 | 相続登記の申請書や必要書類を確認したい | 管轄、予約方法、個別相談で確認できる範囲 |
| 司法書士 | 相続登記を依頼したい、戸籍や書類が複雑 | 報酬、実費、依頼できる作業 |
| 弁護士 | 遺産分割で意見が合わない、交渉が必要 | 相談料、受任範囲、今後の進め方 |
ラクウル / 相続の窓口は、相続した不動産や遺産分割、実家売却の進め方を整理したい方が相談先を探すための入口です。誰の名義にするか、売却と相続手続きをどの順番で進めるか分からない場合に、相談内容をまとめてから問い合わせると話が伝わりやすくなります。
イエヲタは、不動産売却の相談先を探したい方向けの不動産売却コンシェルジュです。相続登記の前でも査定相談はできますが、契約までに必要な手続き、対象物件、売却の見通しを確認しましょう。
サービスへ申し込む前に、「相続登記を代行するサービスなのか」「不動産売却の相談が中心なのか」を確認してください。広告サービスだけで手続きが完結するとは限りません。最終的な登記は法務局または司法書士、税金は税務署または税理士へ確認するのが安心です。
よくある失敗と注意点
| よくある失敗 | 起こりやすい問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 親名義だと思い込む | 祖父母名義で数次相続になっている | 最初に登記簿を取得する |
| 相続人の一人だけで売却を決める | 他の相続人が反対して手続きが止まる | 査定・費用・分け方を全員で共有する |
| 登記完了まで査定を待つ | 売却判断が遅れる | 登記準備と査定相談を並行する |
| 査定額だけで分け方を決める | 実際の手取りとの差が出る | 仲介手数料、税金、片付け費も見る |
| 相続人申告登記だけで売れると思う | 売却に必要な名義整理が終わらない | 制度の効果を法務局へ確認する |
| 自分だけで難しい書類を進める | 戸籍漏れや申請補正が起きる | 複雑な場合は司法書士へ相談する |
相続登記と売却は、一つひとつ確認すれば進められます。急ぐほど、登記簿、相続人、売却費用の3点を先に整理しましょう。
関連記事もあわせて確認しましょう
相続登記の準備と一緒に、空き家管理、片付け、不動産査定の進め方も確認しておくと安心です。
- 相続した実家を売る前にやること|名義・片付け・不動産査定の順番
- 空き家を放置するとどうなる?固定資産税・管理費・売却判断のポイント
- 実家売却と片付けはどちらが先?査定前に残すもの・処分するものの分け方
- 実家を売る前の片付け手順|退去期限があるときの業者選びと注意点
まとめ
相続登記をしていない実家は、査定や売却相談を始めることはできますが、亡くなった方の名義のままでは買主への所有権移転登記を完了できません。売却前に相続登記を行い、実家の名義を相続人へ移す必要があります。
まず登記簿で土地と建物の名義を確認し、戸籍を集めて相続人を確認します。そのうえで、誰が実家を取得するかを話し合い、相続登記と売却相談を並行して進めましょう。
2024年4月より前の相続も義務化の対象です。古い相続、相続人が多い、家族で意見が合わないといった場合は、期限直前まで待たず、法務局、司法書士、弁護士など適切な相談先を利用してください。
相続登記と実家売却の順番を、早めに整理する
名義や遺産分割から確認したい方は相続不動産の相談先へ、査定や売却方法を比べたい方は不動産売却の相談先へ問い合わせましょう。
イエヲタ(不動産売却コンシェルジュ)