「終活という言葉は知っているけど、具体的に何をすればいいのか知らない。」
「遺言書の準備をしてみたいけど、何から準備すればいいのか分からない。」
あなたは今、そうお考えではありませんか。
「終活」という言葉や具体的にどんなことをやるのかはなんとなくイメージがついていて、さらに次のステップとなる行動に移していきたい方向けに説明していきたいと思います。
今回は、遺言書の準備について詳しく書いていきたいと思います。
終活のことを理解して、終活を始めるのにこの記事が役に立てば幸いです。
遺言書とは?
遺言書とは、死後の財産を自由に処分するために残す法的な書類のことをいいます。
似たような言葉が複数あるため、いまいち意味がわからないという方には下記に遺言書・遺書・エンディングノートの違いをまとめてありますので、参考にしてみてください。
遺言書・遺書・エンディングノートとの違いは?
遺言書・遺書・エンディングノートの3つは、似ているためややこしく間違えやすいので、それぞれ1つずつに分けて説明します。
遺言書
遺言書は、民法で定められた法的な文書です。
書式から作成方法、効力、内容に至るまで細かく規定されています。
自分に万一のことがあった場合に財産(遺産)を誰にどれだけ渡すか、事業や不動産などの管理を誰に託すかを生前に取り決めた意思表示を書面に残したものです。
遺言書は定められた作成方法に従い、正しい形式で書かなければ、法的効力が失われるため、正しく書き残すことが重要になります。
遺書
遺書は、自分の意思を誰かに伝えるための私的文書です。
そのため、法的な文章ではなく、法的効力もありません。
一般的な内容としては、遺族に知っておいてほしい生前の想いや、関わりのあった人などへの感謝の言葉、死後の希望などを書き残すことが多く、財産分与などについて書くことはほとんどありません。
エンディングノート
エンディングノートは、自分の人生を記録するための私的文書です。
そのため、法的な文章ではなく、法的効力もありません。
一般的な内容としては、自分に関する個人情報、自分史を記録しておくことが多く、財産分与などについて書くことはほとんどありません。
遺言書はいつ書くべきか
遺言書はいつ書くべきなのでしょうか。
法律的な観点から申し上げると、遺言を残すことができるのは15歳からと民法で定められています。(民法第961条)
ですから、15歳以上であれば法律上問題なく遺言書を書くことができます。
遺言書を書くべきタイミングとして、目安になるのは相続人関係に変化が生じたときです。
相続人関係に変化が生じるのは主に、結婚または離婚したときや子供が生まれたとき、配偶者が亡くなったときのことを指します。
事実婚の場合、パートナーに相続の権利はありませんから、同居・同棲を始めた時にパートナーに財産を遺贈するといった旨を遺言書に記載しておくと良いでしょう。
また、資産状況に変化が起こったときにも、遺言書を書くべきタイミングと言えます。
例えば、自宅を購入した場合や定年退職した時が資産状況に変化が起こった時と言えます。
ご自身のライフイベントに合わせて、遺言書を作成してみてくださいね。
遺言書を書いた方が良い理由
財産の相続などについて自分の意思を家族や周囲の人に残したい場合には、遺言書を書くのは非常に大切になってきます。
特に、子どものいない夫婦や事実婚の夫婦、離婚・再婚などで前妻(夫)の子がいる場合、家業を営んでいる場合などは遺言書は非常に重要な書類になってきます。
遺言書を正しく書けば、法律的な効力を持たせることができます。
遺言書の種類
遺言書には普通方式と特別方式の2種類があります。
さらに普通方式による遺言には3種類あり、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言があります。
特別方式による遺言には4種類あり、一般危急時遺言、難船危急時遺言、一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言があります。
自筆証書遺言
遺言書の全文、日付、名前を自分で書き、印鑑を押すことで作成できるのが自筆証書遺言です。
自筆証書遺言のメリットは、時間や場所を問わず一人で手軽に作成できることできます。
ただし、デメリットとしてパソコンでの作成は不可、自筆が必須条件ということが決まっています。
また内容に不備があると無効となるので注意が必要です。
さらに、少し手間がかかってしまう点として、遺言者の死後、家庭裁判所で検認をしなければならないので、相続人に費用と時間の負担かかってしまいます。
公正証書遺言
遺言者が証人と一緒に公証役場に行き、遺言内容を述べて公証人に遺言書を作成してもらうのが公正証書遺言です。
公正証書遺言のメリットは、原本は公証役場で保管されるため、安全で確実に残すことができます。
デメリットとして若干の手間と費用が必要になります。
費用は財産の規模により異なるため一例にはなりますが、相続額が5000万円の場合は証書作成に2万9000円、遺言手数料に1万1000円で合計4万円になります。
秘密証書遺言
遺言が存在するということは明らかにしながら遺言の内容を秘密にできるのが秘密証書遺言です。
秘密証書遺言のメリットは、自筆証書遺言と異なり、他人が代筆しても、パソコンで作成してもかまいません。ただし署名だけは自筆である必要があります。
デメリットとして、開封するときは家庭裁判所の検認の手続きが必要であったり、遺言書に不備があれば無効とさせることができてしまいます。
そのため上記の自筆証書遺言か公正証書遺言が優位に立つため、秘密証書遺言はほとんど利用されていません。
遺言書を書く上での注意点
遺言書を書く上での注意点はどんなものがあるのでしょうか。
せっかく書いた遺言書が無効になってしまったり、親族・家族間でのトラブルは避けたいものです。
ここからは自筆証書遺言を書く上での注意点を解説していきます。
遺言書が無効になるケース①日付の記載がない
民法には下記のように記載されています。
民法968条1項
「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」
自筆証書遺言の場合、遺言書には書いた日時をはっきりと記載することが必要です。
遺言書が無効になるケース②パソコンで作成した遺言書
民法968条1項
「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」
自筆証書遺言の場合、自筆が必須条件になります。
そのため、パソコンでの作成は無効になります。
遺言書が無効になるケース③遺言者以外による作成
民法968条1項
「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」
自筆証書遺言の場合、自筆が必須条件になります。
そのため、本人以外の誰かに作成してもらうことは、遺言書が無効になるケースに当てはまります。
遺言書はご自身が書ける時期に書いておくのが一番良いと思います。
まとめ
今回は、遺言書の準備について分かりやすく解説しました。
死後の財産を自由に処分するために残す法的な書類のことを遺言書と言います。
遺言書は遺書・エンディングノートと異なり、法的な書類のため財産の相続などについて自分の意思を家族や周囲の人に残したい場合には遺言書を残しておくのが良いでしょう。
ただし終活の内容にこれといった決まりや順序はなく、その人の人生観ややりたい内容によって変わってきますから、どういったことをするかを考えるのも終活の一部と言えるでしょう。
今回紹介した内容を参考に、ぜひ皆さんも自分にとってベストな「終活」を実施していきましょう。